股関節の骨折は高齢者に多い!その時家族はどうしたらいい?

年をとると、筋力が弱くなったり、自分が思ったとおりに体が動いていないなど色々なことが原因で、コケる可能性が高くなります。

65歳以上で転倒し骨折に至る割合は10人に1人程度の割合です。

コケてしまうと股関節の骨折・大腿骨頸部骨折とか、背骨の骨折に多い圧迫骨折とか、手首をついた時にポキっと折れる撓骨遠位端骨折が多いです。

人は2本足で歩く以上こけることは仕方がないことなんです。

よく「こけたら最後だからね!絶対にこけないようにしてね!」ということをおじいちゃん、おばあちゃんに言ってる人を見ますが、別に本人もこけたくてこけてるわけじゃないんですよね。気をつけていてもこけるんですよね。

普段、病院でリハビリの専門家作業療法士として働いている僕がこれまでのリハビリの経験を踏まえて、

  • 高齢になるとなぜコケやすくなるのか?
  • 股間節の骨折、太ももの骨が骨折した時の退院までの流れは?
  • 骨折した時に家族がしておいたほうがいいことは?

この3つの点を中心に書いていきます。

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高齢者になるとなぜコケやすい?

高齢になるとなぜこけやすいのか?それは筋力が落ちてしまうからです。これってもちろんあってますけど、すべて筋力が弱くなったからといってこけるわけではありません。

腰が曲がるとコケやすくなる

きれいな姿勢の高齢の方も多くおられますが、圧迫骨折などで、背骨が潰れてしまい、少しずつ背中が曲がってしまいます。背中が曲がると全身に影響がでます。

背骨が曲がった姿勢を想像すると、股関節が、曲がりっぱなしになっています。曲がっている股関節をさらに曲げるってすごく大変なことです。(やってもらうとわかりますよ)

しかも、お腹周りの筋肉は緩みっぱなしになっているので、お腹の筋肉にも力が入りにくい。こんな状態だと足をあげたくてもなかなか難しいんです。

段差を意識して足をあげようと思うことができれば、いいですが、段差として捉えられていなかったり、これぐらい大丈夫って思って、段差を超えたら、つまずいてこけるっていう結果が待っているんです。

段差が捉えづらくなる

70代で白内障になる可能性は90%だと言われています。ほとんどの人が目の病気があるということです。しかも年齢とともに周辺視野が狭くなっていきます。

「段差はちゃんと足をあげてね」って声掛けをしても、そもそも段差を認識することが難しくなってしまいます。

他にもこける理由はこけてしまうと骨折をする可能性はすごく高いので、高齢の家族がいる場合は、いつ骨折するかわからないので、もし、こけて骨折したときに知っておいたほうがいいことをまとめます。

 

高齢者に多い骨折は股関節の骨折大腿骨頸部骨折など4つ骨折が多い

高齢者が転倒する骨折しやすい場所がいくつかあるので紹介しておきます。

  • 大腿骨の股関節に近い骨が折れる(大腿骨頚部骨折・大腿骨近位部骨折)
  • 手首の骨が折れる(撓骨遠位端骨折)
  • 背骨が押し潰れる(圧迫骨折)
  • 肩から肘の間の骨(上腕骨)が折れる上腕骨骨折

だいたいこの4つの骨折が多いです。どの骨折も多いですが、股関節の骨が折れると、手術が必要になる場合が多く、手術後はすぐに元の生活に戻れない(歩けない)骨折の大腿骨の骨折について紹介しておきます。

大腿骨が骨折したっていっても何処が折れている?高齢者に多いのは大腿骨頸部骨折

どこの骨でもそうですが、折れる場所によって、骨折の名前が変わりますが、高齢者でよく聞くのが大腿骨頚部骨折という骨折です。同じような部位が折れる骨折に大腿骨転子部骨折というものもあります。折れる場所は近いのですが若干違います。

簡単にいうと大腿骨頚部骨折は大腿骨という骨の根元(股関節付近)が折れてしまう骨折です。

大腿骨が折れるとどうなる?

簡単に想像できると思いますが、歩けなくなります。人が歩けなくなると、日常生活のほとんどに介助が必要になってきます。これまでの生活が一変してしまいます。

歩けないということは、トイレに行けない、お風呂にも入れない、食事も作れないとなり、誰かの介護がないと生活ができなくなってしまいます。

治療は手術になることが多い

大腿骨頚部骨折の場合は大体の場合はすぐに手術になることが多いです。あまりにも手術をするのに危険を伴う高齢者やなんらかの病気を持って以内場合はほぼ手術になります。

手術は折れ方によって変わってきます。股関節と接している骨の部分骨頭というものを人工物に変える人工骨頭置換術や、折れた骨を固定器具で止めるなどの方法が取られます。

これは医師がしっかりと診察して、適切な方法を選択してくれます。この辺りは医師に任せるしかないのですが、どんな手術をするのか説明をしっかりと聞いておいてくださいね。

手術が終われば歩けるようになるのか

手術が終わったからといってすぐに元通りに歩けるようになるわけではありません。手術後の全身の状態が安定しない場合を除いて、手術が終わった翌日からリハビリテーションが開始されることがほとんどです。

関節を動かす練習や筋肉をつける練習から始まり、車いすに乗り移りをする練習、トイレにいく練習、歩く練習と徐々にステップアップしていきます。

手術後のリハビリテーションを頑張ってしないと元に近い状態に戻れないということは多いです。

リハビリテーションをすれば全員が元に近い状態に戻れるのか?

リハビリテーションをしたからといって100%の人が元の状態に戻れるわけではありません。年齢にもよりますし、骨折をする前の生活の状態にもよります。60~70代でよく運動をしていたという人であれば、2週間もすると杖で楽々歩けるようになっている人は多いです。

しかし、80代で外にあまり出ず運動はほどんどしていなかったという人になると、元の状態に戻るまでに時間もかかりますし、最悪、介護が必要になる可能性もあります。

年齢も大きく関係しますが、骨折をする前の普段の生活の状態が今後の生活に影響をします。

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大腿骨が骨折したときに家族がしておくこと

大腿骨の骨折をした場合、歩けなくなる可能性があることを想定しておかなければいけません。最悪の状態を考えて置かないと、手術をしてもらった病院には長い期間入院することも難しくなります。

こまめにお見舞いにいく

高齢者で怖いのは認知症になることです。骨折して、病院にいきなり環境が変わり、病室によっては話をする人が誰もいない・・・こんな状況な上に、足が痛い、動かせない、動きたくても動けない、ベッドの上でトイレもしないといけない…病院はストレスだれけです。

こんな状況になると、急に認知機能が落ちていく人を見ます。

認知症になると、介護が必要になる可能性はかなり高くなります。一人暮らしならもとの家に帰ることが無理ということも考えられます。

なので、認知症になるのは少しでも避けたいです。ケガをして病院に入院しているときに家族が来ると安心しますよね。

なるべく、こまめにお見舞いに言って、たくさん話をするようにしてください。

介護保険を申請する

介護保険の保険料は毎月支払っていると思いますが、介護保険は使いたいと言ってすぐに使うことはできません。まず市町村に介護保険を使いたいということを申請しないといけません。

介護保険を申請すると、市町村の調査員がやってきて、どれぐらいのことができるのかを目で見て、日常生活の状態を確認して、どのぐらいの介護度かというのをチェックします。

そのチェックした内容をもとに、どれぐらいの介護は必要かというのを市町村で検討して、介護度がつくことで初めて介護保険が使えるようになります。この期間が約1ヶ月ほどかかります。

入院してある程度、高齢で介護が必要になるかもしれないという場合は介護保険の申請をすぐにしておくようにしましょう。

直接市町村に問い合わせてもらってもいいですし、病院にいる医療相談員が相談に乗ってくれます。

どういう状態になったら家に帰れるかを伝えておく

手術が終わった後に、リハビリテーションをするわけですが、必ず目標が必要になります。家に帰ることが目標であれば、どれぐらいのことができれば家に帰ることができるのかをリハビリテーションのスタッフまたは医療相談員に伝えておくのをおすすめします。

例えば、一人暮らしで、自分の事は自分で、買い物も自分でできて、料理や洗濯なども全部自分でできないと困るとか。

これまでは一人暮らしだったけど、これからは同居する予定なので、1人で歩けるようにして、自分の身の回りのことは自分でできるように

とか、家族としての要望を伝えてもらっている方が、要望に合わせてリハビリテーションもすすみますし、できるのか、できないのかも判断がしやすくなります。

おおまかでもいいので、その時点でわかっていることを伝えてもらっておいた方がスムーズに話がすすみやすいです。

リハビリのスタッフや医療相談員に聞かれるとは思いますが…。

今後の方向性を考えておく

手術した病院で、歩けるようになるまで入院させてくれればいいのですが、そうもいきません。病院の規模にもよりますが、早いところでは、2週間~遅いところでも。1ヶ月ぐらいで、転院をしてくださいと言われます。

ある程度動けるようになっていたら、退院もできるのですが、なかなかそうはいきません。

なので、手術した病院→リハビリ専門病院へ転院(3ヶ月前後、リハビリ)→自宅へ帰るという流れになることが多いと思います。

入院する時に説明されると思いますが、知っておいてください。

なぜ介護保険を申請しておいた方がいい?

骨折したら、病院に運ばれて、手術。その後リハビリをして、元の状態に近づけるように頑張っていくわけですが、元の状態に完全に戻るというのはやはり難しいです。

年齢や骨折する前の生活レベルによっても予後は変わってくるんですが、何らかの不便さは残ることが多いです。

人工骨頭置換術という手術を受けた場合は、特定の姿勢で股関節が脱臼する可能性がありますし、これ以外の手術でも痛みが残ることもあります。

なので、手術→リハビリ→元の生活というわけにはいかないのが実情です。

退院をして家での生活をすると困ることはけっこう出てくるんですね。家に帰ってから困るかもしれないことを上げていきます。

一人暮らしか同居しているか

家に帰る時に誰かと一緒に住んでいると、何かあっても誰かが気がついてくれるので、いいですが、一人ぐらしの場合は、そうはいきません。

家族のひとが小まめに連絡する手段を持ったり、誰かに着てもらうということも必要ですね。例えば、配食サービス(宅配弁当)を使って、安否を確認するなんてことも考えなければいけません。

介助が必要になる場合は家に帰ることが難しいということにもなります。

マンションか戸建か

住んでいる環境でも全然違います。マンションだと家のエレベーターのあるなしが大きく関わって来ますし、階段を使うにしても手すりがあるかないかというのはとても大切です。

古いアパートに住んでいると家に帰れない…なんてこともあるでしょう。

住んでいる環境がすごく大切になります。

玄関の上がり框は登れるか

玄関の上がり框は意外と高い家が多いですよね。骨折をしたタイミングで手すりを付ける人も多いです。ここが登れ無いと家に入れないのですごく大切です。

また、『玄関までに階段』があるかないかもすごく重要になります。

お風呂に入れる

日常生活動作の中で難しい部類にはいるのがお風呂です。お風呂は滑りやすいですし、転倒の危険が高い場所になります。

また、湯船に浸かるという人は、手術の方法によっては、入り方に工夫をしないといけません。

床で布団で寝ている

布団で寝ていると、床から立ち座りという動作が必要になるので、難易度が上がります。動作を完璧に覚えないと、行けないので大変です。

夜中にトイレに起きる時、朝の体が動かしにくい時に立ち上がるという動作が強いられるので、かなりきついです。いい状態まで回復しなければ、ベッドの導入が必要になります。

洗濯はできる?買い物はできる?

家族のひとができるのであれば問題ないのですが、独居の場合はこの2つは必ず必要になりますよね。スーパーまで歩いて帰ってくる持久力もそうですし、食事もつくらないといけません。

このあたりをどうするのかというのも問題になります。

紹介したこと以外にも細かいことは出てきますし、逆にほとんど問題ないってこともありますが、これらのことは介護保険を申請していると解決できる場合もあります。

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介護保険で何ができる

何かできないことが、あれば介護保険を使えばいい!となんとなくは知っているとは思いますが、医療保険のように保険証を窓口に出せば使えるというものではないんです。

超カンタンに介護保険を使うためのことを説明しておきます。

介護保険でサービスを受けることができるようになるまでの流れ

まずは、市町村に介護保険を申請します。申請をすると介護保険の認定調査員という方が、体の状態を調べに来ます。

聞き取りの調査から実際に動作をしてもらうものまで、色々です。その調査を元に、介護度というものがでます。

要支援とか要介護とかそのようなものです。その介護度に応じてサービスが受けられます。

そして、介護度が決定すると、介護支援専門員いわゆるケアマネジャーが利用者のもとへ訪れ、その方の体の状態や生活の状態を見て、どのようなサービスが必要なのかということを本人や家族、医療スタッフなどなどを含めて話し合いをします。

それを元にケアプランと呼ばれるものが作成され、そのプランに基づいてサービスが提供されます。例えば、月曜日の10時から訪問看護 水曜日の10時~16時までデイサービスなどなど、その方がいつ、どのようなサービスを使うのかということがまとめられています。

介護保険のサービスで解決できるものもある

骨折後、体の状態が安定するまで、誰かの手伝いが必要だという時には、介護保険のサービスを使って解決をすることができます。

  • 料理や買い物ができなければ、ヘルパーに来てもらって代わりにしてもらうこともできます。
  • お風呂に入るのが不安ならば、介助をしてもらいながら入ることもできます。
  • デイサービスなどを利用して、日中外出してお風呂に入るということもできます。
  • また、病院にリハビリに行くよりも、家でした方がよければ、訪問リハビリも利用できます。
  • 家の中に手すりが必要であれば、手すりをつけることもできますし、ベッドなども介護保険でレンタルをすることができます。

介護保険のサービスを使いながら、家での生活に慣れていき最終的には自立できるというのが理想ですね。なので、ちょっとの手伝いがあれば、自宅に帰れるのに…という時は介護保険のサービスがあると実現できる場合もあるんです。

なので、なるべく早めに申請をしておいたほうがいいです。申請にも時間がかかります。

サービスの上限は介護度によって変わってきますし、ベッドなどをレンタルする場合は必要な介護度があります。

また、介護保険申請後自己負担(1割負担)を含め20万円まで、住宅改修の費用として使うことができるので、トイレやお風呂、玄関など必要なところに手すりをつけることなどもできます。

まとめ

高齢になると骨折する可能性は高くなります。特に股関節の骨折をするとすぐに歩くことができなくなってしまいますし、100%元通りに戻れるとはかぎりません。

家族は、介護が必要になる可能性も考えて置かなければいけません。全く知識がないと、間際になって慌てることになるので、リハビリテーションのスタッフや医療相談員と積極的に話をして、わからないことはどんどん解消するようにしてくださいね。

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